大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和30(オ)529 判決

主 文

原判決を破棄する。

本件を仙台高等裁判所に差戻す。

理 由

上告代理人佐久間貢の上告理由第一点ないし第五点について。

本件係争地については上告人も、被上告人もともに賃借権を有し、しかも両者は

いずれも登記を経由されていないが故に相互に他の賃借権を否定する効力を有せず、

従つて上告人は自己の賃借権を以て被上告人に対抗するに由なき次第なれば被上告

人に対しこれが確認を求める本訴請求は失当たるを免れずというのが、原判決の趣

意であることは判文上明らかである。

しかしながら、被上告人は上告人が前示賃借権を取得してから遥に後に自己の賃

借権を取得したものであることは原判決の認定事実によつて明らかであるから、被

上告人はあるいは上告人の前示賃借権の存在を知了し、あるいはこれを知り得べか

りし状況の下においてことさら自己の賃借権を取得したものなるやも計り難く(こ

れらの関係は原判決の説示のうちに窺い得ないわけでもない)、もし、そうだとす

れば、被上告人は上告人に対しその賃借権の行使を妨害する不法行為者と認めざる

を得ない筋合であり、従つて上告人としては被上告人に対し自己の賃借権の存在を

確認さすべき十分の利益あるものと云わざるを得ない。然るに原判決はこれらの点

について毫も思慮を運らした形跡なく、ただ漫然と登記のない二つの賃借権は相互

に対抗力なしとの理由だけで上告人の本訴請求を失当と断じたのは審理不尽、理由

不備の欠陥を蔵するものであつて、本上告理由は結局理由あるに帰し原判決はこの

点において到底破棄を免れないものと認める。

よつて民訴四〇七条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

最高裁判所第一小法廷

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裁判長裁判官 高 木 常 七

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 下 飯 坂 潤 夫

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